実務で役に立つ人事労務の話

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#03 継続的なテレワークのために確認しておきたいポイント②

こちらは2021年2月に弊社メールマガジンに掲載された記事の再掲です。

昨年4月の緊急事態宣言以降、各企業がテレワークに向けたIT環境の整備、業務内容・プロセスや労務管理体制等を改善したことが奏功して、確実にテレワークが普及・定着してきています。
これにより2度目の緊急事態宣言時はスムーズにテレワークへの移行ができた企業が多かったのではないでしょうか。

このようにテレワークための環境や体制はかなり整備が進みました。
しかし、テレワーク時のコミュニケーションはどうでしょう?
出社時と比較して、コミュニケーションの頻度が激減したりしていませんか?
テレワークが長引くことで、メンタル不調となる人たちも増えてきています。

今回はこの“テレワークにおけるコミュニケーション”について取り上げます。

テレワークを行う従業員が不安に感じていること

テレワークに関する不安感や孤独感に関するある調査によると、テレワークを行う従業員からは「非対面のやりとりは、相手の気持ちが察しにくく不安だ」、「上司や同僚からさぼっていると思われていないか不安だ」という声が多数あるという結果が出ています。
また、「私は、孤立しているように思う」という回答も非常に多く、テレワークを行う従業員が孤独感を強く感じていることも分かります。

実際、入社したばかりの新入社員が、テレワークが原因と思われる適応障害を発症し、休職に至ったというケースも発生しています。
入社式も新人研修もオンライン、赴任先が実家から遠く帰省もままならない中、ほとんど誰とも会話をせずに慣れない仕事をひとり在宅でこなす毎日…となればストレスや孤独感、不安感も相当なものであったと考えられます。

メンタル不調を予防する4つのサポートとは

メンタル不調が起こるのは、当然ながらテレワークに限ったことではありません。

仕事の量や質、裁量など仕事のストレス要因がある場合でも、ストレスの要因を減らしたり、緩衝要因を増やすことでメンタル不調を防ぐことができます。
ストレスの要因を減らすためには仕事の配分を見直したり、一定の裁量を与えることなどが考えられます。また、緩衝要因としては上司や同僚などのサポートが挙げられます。

上司や同僚などの職場におけるサポートは以下のように主に4つあります。

①情熱的サポート

励ましや応援で、やる気を起こさせるサポート

②情報的サポート

役立つ情報を教えるサポート

③道具的サポート

実際に手伝うサポート

④評価的サポート

仕事やその他業務に、適切な評価をするサポート

これらのサポートが充実していることが、ストレスを緩和する方法のひとつになります。

これらのサポート、決してテレワークだからできないサポートではありません。
オンラインでもコミュニケーションの機会を増やすことによってサポートは可能です。

円滑なコミュニケーションが一番取れているのは“ハイブリッドワーク”

ハイブリッドワークとは、テレワーク(オンライン)と出社(オフライン)を組み合わせた働き方のことをいいます。

テレワークに関する意識調査によると、「社内の同僚や後輩、上司と円滑なコミュニケーションが取れている」という回答が一番多かったのがハイブリッドワークの人たちでした。
また、コミュニケーション以外でも「効率的に仕事ができている」と感じている人の割合や「会社に対して愛着・信頼を感じている」と回答した人の割合が一番多かったのも実はハイブリッドワークの人たちだったのです。

従来よりテレワークが実施され、完全に定着しているような企業についてはあてはまらないかも知れませんが、現時点では、従業員のメンタルや仕事の生産性の面からみて一番好ましいのはハイブリッドワークと言えそうです。

孤独感からのメンタル不調を予防するための具体策

メンタル不調になる傾向が強いのは、若い年齢層の従業員や入社または異動してすぐにテレワークとなった従業員、障害をもつ従業員だと言われています。理由のひとつにこれらの人たちは孤立しやすいという点が挙げられます。
メンタル不調の予防策は、とにかくコミュニケーションの機会を作ることです。
例えば、以下のような方法が考えられます。

・1週間の中で出勤日を作り、対面で話す機会を設ける。

・チームでのオンライン会議の後に上司と一対一で話す機会を設ける。

・1on1ミーティングを週に1回、2週に1回などの短いサイクルで定期的に行う。

・管理職に傾聴のための研修を受講させる。

・チームでのオンライン会議の後に全員で雑談する機会を設ける。

・年齢が近いメンバーとオンラインで話す機会を設ける。

・オンラインでイベントを開催する。 など

要は、従業員の心身の状況を確認する場や時間を作ること、悩みを共有したり、仕事以外の楽しさを共有できる場を作ることで、孤独感を排除するということです。

コロナ禍で一気に導入が進んだテレワークですが、多様な人材に長く活躍してもらうためには、コロナ禍だけで終わらせず、継続的にこの制度を活用していくことが大切です。

環境や体制だけでなく、ぜひコミュニケーションという側面にも目を向けて、従業員の皆さんが持てる能力を最大限発揮することのできるテレワークにしていきましょう!

あすそら社会保険労務士事務所 代表 大野知美

あすそら社会保険労務士事務所 代表
特定社会保険労務士・キャリアコンサルタント

大野 知美

IT企業人事部勤務を経て独立。企業人事出身であることから『当事者目線に立った支援』が強み。主に顧問先企業の人事労務相談や就業規則の作成、各所での講演活動等を行っている。
その他、中堅・中小企業の働き方改革や健康経営の推進、女性活躍の推進にも注力している。

あすそら社会保険労務士事務所webサイト

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