実務で役に立つ人事労務の話
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#04 ウィズコロナ時代の採用活動で注意するべきポイント
こちらは2021年3月に弊社メールマガジンに掲載された記事の再掲です。
2021年度卒業・修了予定者等を対象とした就職・採用活動については、以下のようなスケジュールで予定されています。
・広報活動開始 3月1日
・採用選考活動開始 6月1日
採用活動においては、新型コロナウイルス感染症の拡大を防止し、学生等が安心して就職活動に取り組める環境を整備することが求められます。
ウィズコロナの新しい時代の採用活動は、どんな点に注意すべきなのか、そのポイントを見ていきましょう

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オンラインによる企業説明会や面接・試験を実施する際の留意点
国から経済団体等へ対しては、オンラインによる採用活動について、以下の要請が出されています。
①新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、オンラインによる企業説明会や面接・試験の実施が可能な企業においては、オンラインを積極的に活用し、その旨を情報発信すること。
②通信手段や使用ツールなど、どのような条件で実施するかについて、事前に明示し、学生が準備する時間を確保すること。
③通信環境により、音声・映像が途切れる場合等には、学生等が不安にならないよう対応すること。
④オンライン環境にアクセスすることが困難な学生等に対しては、対面や他の通信手段による企業説明会や面接・試験も併せて実施すること。
普段からツールの利用に慣れていない学生等にとっては、オンラインによる参加がプレッシャーやハードルになる可能性もあります。
ツールの操作マニュアルを準備し、事前に案内を行うことや、接続に時間を要することを想定して時間に余裕をもって面接の開始時間を設定するなどの配慮をすることにより、学生等の安心感につながります。
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対面による企業説明会や面接・試験の実施
オンライン環境にアクセスすることが困難な学生等への対応等、対面による企業説明会や面接・試験を実施する際には、新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえ、いわゆる3密(密閉空間、密集場所、密接場面)になることのないよう、広報活動日程及び採用選考日程を後倒しにするなど柔軟な日程の設定や秋採用・通年採用などによる一層の募集機会の提供を行うとともに、その旨を積極的に情報発信することが求められます。

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オンライン選考におけるコミュニケーションのポイント
オンライン選考という手法は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止や地域に縛られずに人材を採用したいという企業のニーズ、そして、感染を避けるために外出したくない、自宅から遠い企業や多くの企業の選考を効率的に受けたいといった学生等双方にマッチした手法ではありますが、一方で、オンラインではお互いの雰囲気が伝わりづらかったり、意思疎通がうまくいかなかったりといった懸念があります。
実施の上では以下のようなポイントをおさえて、これらの懸念を解消しましょう。
①会社説明会におけるポイント
単なる会社説明だけでは伝わりづらい会社の雰囲気や具体的な仕事内容については、会社説明のための資料に画像や動画を多く使用したり、実際に働いている従業員の声を取り上げることにより視覚的・具体的に伝える、ということが考えられます。
特に従業員の声については、1日の仕事の流れや仕事のやりがい、どんな風にキャリアアップしてきたのか、など体験談的に取り上げることでよりイメージがしやすくなります。
また、会社説明会の後に、従業員とオンラインで交流する機会を設ける、というのも効果的です。
ただし、オンラインのため大人数だと質問しづらい、ということも考えられます。その場合には、予めどのような従業員の話が聞きたいかを確認しておき、一対一での交流を設定することで気兼ねすることなく疑問や不安を解消でき、入社意欲の向上にもつながることが期待できます。
②面接におけるポイント
これは、対面での面接でも行っていると思いますが、オンラインでの面接の場合にはより緊張感が高まる可能性が高いので、普段よりも丁寧にアイスブレイクを行うことが重要です。アイスブレイクで相手の緊張をほぐし、できれば笑顔を引き出せてから面接を始められると良いです。
そして、面接中も対面時以上に相手の表情に気を配り、言葉のキャッチボールがうまくいっていないようであれば、ゆっくり丁寧に話をしたり、相づちやリアクションを大きめにしたり、「聞こえづらい場合には遠慮せずに言ってくださいね。」といった声掛けがあると、学生等も安心できます。
新型コロナウイルス感染症が落ち着いても、企業・学生等の双方にメリットの大きいオンライン選考はさらに普及・定着していくことが予想されます。
オンライン選考でも学生等の立場に立って丁寧にフォローしながら進めていくことで、その企業に対して好意的な印象を抱き、それが企業への入社意欲の向上へとつながることが期待できます。
ぜひオンライン選考の手法を整備し、効率的で御社・学生等双方にとってプラスとなる採用活動に取り組んでください。
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あすそら社会保険労務士事務所 代表
特定社会保険労務士・キャリアコンサルタント大野 知美
IT企業人事部勤務を経て独立。企業人事出身であることから『当事者目線に立った支援』が強み。主に顧問先企業の人事労務相談や就業規則の作成、各所での講演活動等を行っている。
その他、中堅・中小企業の働き方改革や健康経営の推進、女性活躍の推進にも注力している。