働く喜びを増やす
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#03 仕事において、まず考えるべき忘れがちだけど大切なこと
こちらは2023年6月に弊社メールマガジンに掲載された記事の再掲です。
前回配信、第2回の内容はいかがでしたでしょうか? 弊社のクライアント企業さんで、入社して3年目までの離職率が28%だったのを、とある取り組みにより5.4%へ低減させた事例をご紹介しました。『こんな会社では働けない』という理由での離職を防ぐための具体的な取り組みとして、
- ・若手社員のモチベーションを見える化してフォローしやすくする「モチベーションチェックシート」
- ・「メンターを決めて、そのメンター同士で情報交換できる場を作る」をお伝えしました。
等についてお話をしました。何か御社のヒントになることがあったのであれば嬉しいです。
さて、第3回目は、「仕事をするとき、まず考えるべき忘れがちだけど大切なこと」と題してお話をさせていただきます。
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仕事の目的とは
仕事をするときに、まず考えなければならないことがあるとしたら、どのようなことだと思われますか?
私は、こう考えています。まず考えるべきことは、「何のためにこの仕事をするのか?」という「目的」です。社長であれば、「何のためにこの会社を経営しているのか?」です。
「いや、そんなこと普通にやってるよ」って思わた方もいらっしゃるかもしれません。
でも、これ、実は正しくできていない方が多いんです。データがあるわけではありませんが、私が知る限り、正しく仕事の目的を考えられている社員さんは少ないです。管理職の方で正しく指導できている方もあまりいらっしゃいません。
あくまでも私が知る範囲のことですので、その点はご了承ください。
念のため、統計数値でお伝えしておくと、内閣府が2022年10月に行った「国民生活に関する世論調査」における「働く目的は何か」の回答としては次のようになっています。
- 「お金を得るために働く」と答えた人の割合63.3%
- 「社会の一員として、務めを果たすために働く」と答えた人の割合11.0%
- 「自分の才能や能力を発揮するために働く」と答えた人の割合6.7%
- 「生きがいをみつけるために働く」と答えた人の割合14.1%
この数値だけから判断しても、多くの方が正しく目的を描けていません。
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自分視点と他者視点
仕事の目的には大きく2パターンあります。
一つは、自分のため、自社のため、という自分視点での目的。
もう一つは、他者のため、お客様のため、社会のため、という他者視点での目的です。
たとえば、私が「何のために日本ブロアーさんのこのメルマガ『風の便り』に寄稿しているのか?その目的は何か?」と問われたとしたら…
「何のためか?う~ん、そうですねぇ、まぁ、一つはうちの会社を知ってもらって、少しでもうちの会社の売上につなげるためですね。少なくとも原稿料は入ってきますから。あとは、日本ブロアーさんというしっかりした会社さんにこうして寄稿させてもらえれば、きっとコンサルタント・研修講師としての箔が付くと思うんですよね。」
となったら、これはもう、完全に仕事をする目的が「自分のため、自社のため」となります。
決して、自社・自社の視点で設定する目的が間違っている、自分視点での目的を立ててはダメ、ということではありません。
ただ、それと併せて、「他者視点・お客様の視点、社会の視点」での目的を立てることが大切なのです。
自分視点の目的を明確にしなくても、他者視点での目的は明確にしなければなりません。
私の場合でいえば、このメルマガ「風の便り」に寄稿する他者視点での目的はこうなります。
「仕事に必要な考え方・スキル・ノウハウをお伝えすることで、より多くの方に今以上に働くことの喜び・楽しさを感じられるようになっていただくため」。
まぁ、これも見方を変えれば、自分の能力を発揮し、自分の働き甲斐を感じるため、ということで「自分視点の目的」になるのかもしれません…
先に紹介した内閣府の「国民生活に関する世論調査」では、63.3%の人が仕事の目的を「自分視点」で描いていると言えます。
仕事をするうえで、大切なのは、『他社視点で一つひとつの仕事の目的を描くこと』、ではないかと思うのです。
「そんなきれいごとだけで仕事はやってられないよ!」「自分の生活が保障されてこそ人のことも考えられるんだよ」という声も聞こえてきそうです。
それも十分分かります。
仕事の目的を他者視点で考えるというのは易しです。が、それを実行することは色々な環境が絡んできて、難しいことなのも十分承知しております。
しかし、その理想を追求する意識は大切だと思うのです。なぜなら、自分視点・自社視点だけの目的を掲げて仕事をすると一つ大きな問題があるからです。
特に社長が「何のために経営をしているのか?」を自社視点だけで考えてしまっている場合は、大袈裟に聞こえるかもしれませんが、不正や不祥事につながるのではないかと考えています。
もちろん、経営理念や社是・社訓には「社会貢献」的な他者視点での経営目的が描かれています。しかし、実態としてはそうでない、としたら、不正や不祥事につながりかねません。
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理想実現のための視点を持つ
例えば、少し古いネタになりますが、知床の観光船の事故。なぜ、あのような痛ましい事故が起こってしまったのか?
本来、観光船事業を行う目的は何でしょうか?
他者視点であるお客様のため、ということで考えれば、「知床を訪れる観光客のために安心・安全に知床の魅力を堪能してもらうため」だろうと思います。
しかし、実際にはそうなっていなかった。完全に目的がうちの会社が儲けるためになっていたのではないでしょうか?
「これぐらいの波、大したことない!他の観光船が出ないなら、チャンスじゃないか!船長!とにかく船を出せ!」「船の修理?そんなことにお金を掛けてたら利益が減るじゃないか!」なんてやり取りがあったのではないかと推察されます。
他にもいろいろな会社でデータの改ざんなどがありますが、それもやはりお客様の安心・安全を守るためにということではなく、自社視点か、現場の人からすれば、上司からの圧力が強すぎて、疲弊してしまって、「もう、あの上司を納得させるためには仕方ない」となってしまった結果ではないかと思うのです。
まずは、理想を追求するために、「今から行うこの仕事、誰にどうなってもらうために行うのだろう?」と考えることを癖付けしてみてはいかがでしょう。
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株式会社ナレッジ・プラクティス・コンサルティング 代表取締役社長
中小企業診断士・事業承継士・経営コンサルタント宇井 克己
製造業・コンサルティング会社を経て2002年に独立。『経営者も社員も働くことに喜びと幸せを感じられる組織作りを支援すること』を使命とし、コーチングやファシリテーション、正しい問題解決手法を駆使して「考える社員、考える組織」&「高業績企業」を多数輩出。年間の研修・講演回数は150回以上。



