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#04 よくある目標設定の間違い~正しく目標を立てるには…

こちらは2023年8月に弊社メールマガジンに掲載された記事の再掲です。

先月第3回の内容はいかがでしたでしょうか?仕事をするときに、まず考えなければならないことは、「何のためにこの仕事をするのか?」という「目的」。社長であれば、「何のためにこの会社を経営しているのか?」という内容をお伝えしました。
何か御社のヒントになることがあったのであれば嬉しいです。

正しい目標の設定方法とは

さて、第4回目は、「よくある目標設定の間違い~正しく目標を立てるには…」と題してお話をさせていただきます。

管理職の方であれば、もしも部下から「来期の目標」として以下のような話をされたらどう対応されますか?
部下の立場であれば、自分が立てた目標が以下の内容に近くないか確認してみてください。

  • 部下A:「来期の目標、『CADスキルのレベルアップ』にしたいと思っています」
  • 部下B:「来期の目標、『チャレンジングな営業活動による新規顧客の開拓』で行こうと思っています」
  • 部下C:「来期の目標、どうしたらいいのか、分かりません。私、営業のアシスタントなんで売上高を目標にもできませんし、何を目標にしたらいいものか…?よく分からないんで、『毎月2冊本を読む』を目標にしてもいいですか」

等々…
いかがでしょう?

上記は全て実例で、全て上司から承認されていました。

目標管理制度を導入している企業は多いと思います。目標管理制度と言わないまでも、ほとんどの企業には目標がありますし、社員さんは、個人目標を設定することが求められているのではないでしょうか?
そこで課題になるのが、「どう目標を設定するか」です。
そもそも、社員の目標、部署の目標が正しく設定できなければ、目標管理制度は本来の機能を果たしにくくなります。人事評価制度と結びつけることも難しい。 人材育成にも、会社の成果にもつながらない…。

ただ、思うのは…
正しい目標の立て方が教育されている企業さんは少ないということ。
では、目標を正しく設定するにはどうしたらいいのでしょう?

論理的な考え方

ここで対象とするのは、あくまでも会社組織、仕事における目標です。プライベートの目標は対象ではありません。その点はご了承ください。

会社組織において正しい目標とは何か?その要件はいくつかありますが、その一つに、「責任と権限の範疇における出すべき成果となっている」があります。冒頭の例で言えば、こうなります。

  • 部下A:「CADのスキルアップを目標にします」
  • 上司:「CADのスキルアップね。まず聞いてみたいんだけど、AさんとしてCADのスキルアップをすることで、出したい成果ってどんな成果かな?スキルアップを図りたいということは、言い方を変えると、現状のスキルレベルでは出せてない成果があるってことだと思うんだよね。スキルアップして出したい成果を共有しようよ」

キーワードは、「出したい成果があるとしたらなんですか?」です。
図にするとこうなります。

部下Aが言っている「スキルアップ」はやりたいこと、すなわち手段であって、出したい成果ではありません。仕事における目的はお客様を喜ばせて成果を出し続けることです。ですから、組織においては、やりたいことを目的化して、それを目標にしない、出したい成果・出すべき成果を目標にするのが原則です。

上司側の思考回路としては、こうなります。
「部下が言っている目標は成果系になっているか?行動系になっていないか。行動系であれば、その行動を取ることで出したい成果を明確にする必要があるな」。

例えば、CADのスキルアップをすることで出したい成果としては、「設計効率の向上」等が考えられます。これに数値を貼り付ければ、目標となるわけです。
「1案件あたりの設計時間、現状平均20時間かかっているのを、平均15時間に短縮する」というように。

もう一つ例を用いて解説したいと思います。

  • 部下D:新規開拓件数を増やすためにもお客様への訪問件数を増やしていきたいと思います。具体的には月30件から50件に増やします。訪問件数を増やすためには、翌週の活動計画を金曜日に作成し、先輩の○○さんに見てもらおうと思います。計画をちゃんと立て、訪問回数を増やすことで新規の開拓件数を増やしていきます。現状平均月1件ですので、2件は開拓できるようにします。

この場合は、新規開拓件数アップが目標となります。

情緒的思考とは

しかし、ここで一つ疑問が湧いてきます。
新規顧客の開拓は本当に成果目標なのか?開拓することは、手段ではないのか?

その通りです。仕事において、目的と手段の関係性はいくらでも上に上がっていけるのです。

新規顧客の開拓をすることで、出したい成果は?(=新規開拓の目的は?)
売上高の向上。

売上高を高めることで出したい成果は?
利益額の維持・向上。

利益額を維持・向上させて出したい成果は?
顧客価値の増大。

顧客価値の増大を図ることで出したい成果は?
・・・

というようにいくらでも上に上がっていけます。

それらのハイブリッドを目指す

では、どこまで上がって、どこで成果目標を設定すればいいのでしょう?
そこに必要になる概念が、「責任と権限」です。
組織には必ずそれぞれの部署に、社員一人ひとりに責任と権限があります。正しい目標は、「責任と権限の範疇で出すべき成果」ということになります。

つまり、部下Dの場合、上司が「Dさんの責任は、新規開拓件数を増やすまで。売上高は責任外」と言っていれば、「新規開拓件数を2件/月にする」が部下Dさんの責任と権限の範疇における出したい成果、すなわち正しい目標となります。

新規開拓した件数を増やしても、単価が安くて売上が上がらなかったとしても、それは問わないということです。
もし、上司が「Bさんももう6年目だから、そろそろ売上にも責任を持ってもらわなければいけないね。新規開拓をして出したい売上の成果を決めておこう」と言えば、「新規開拓件数2件/月」は責任と権限の範疇で出すべき成果ではなくなります。

「売上高〇〇円」を目標とすべきです。

ですので、部下AのCADスキルアップの例でも、ひょっとすると、責任と権限の範疇が「CADスキルのレベルアップ」までとなれば、『CADのスキルアップに数字を貼り付けて目標』とすることはあり得るわけです。

株式会社ナレッジ・プラクティス・コンサルティング 代表取締役社長 中小企業診断士・事業承継士・経営コンサルタント

株式会社ナレッジ・プラクティス・コンサルティング 代表取締役社長
中小企業診断士・事業承継士・経営コンサルタント

宇井 克己

製造業・コンサルティング会社を経て2002年に独立。『経営者も社員も働くことに喜びと幸せを感じられる組織作りを支援すること』を使命とし、コーチングやファシリテーション、正しい問題解決手法を駆使して「考える社員、考える組織」&「高業績企業」を多数輩出。年間の研修・講演回数は150回以上。

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