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#05 論理的思考と情緒的思考のハイブリッドを目指す

こちらは2023年10月に弊社メールマガジンに掲載された記事の再掲です。

先月第4回の内容はいかがでしたでしょうか?会社組織において目標を設定するときのポイントは、「責任と権限の範疇において出すべき成果を目標とすべき」ということをお伝えしました。また、「上司が部下の正しい目標設定を支援するときのキーワードは『出したい成果は?』」ということもお伝えしました。
何か御社のヒントになることがあったのであれば嬉しいです。

論理的思考の話し

さて、第5回目は、「論理的思考と情緒的思考のハイブリッドを目指す」と題してお話をさせていただきます。
論理的思考(ロジカルシンキング)とは何か?情緒的思考とは何か?それを考えるために、いきなりではありますが、一つお題を出します。少しだけ考えてみてください。

『あなたは、野球チームのピッチャーです。試合でマウンドに立っています。9回裏ツーアウト満塁。点数はお互いに譲らず0-0の同点。バッターへのカウントは、3ボール2ストライクのフルカウント。あなたなら、この場面で次の一球、どんなボールを投げますか?』

いかがでしょう?
(野球に全く興味ない、ルールも分からない、という方には非常に申し訳ないです。私、本格的な野球経験はないのですが(少年野球程度です)、結構なプロ野球ファンなのです。というか、中日ドラゴンズファン。名古屋出身だけに…。まぁ、今は見る影もなく弱すぎて、応援する気も失せてますが…)

さて、決まりましたか?どんな球を投げるか…

実はこのお題、私が考えたものではありません。もうお亡くなりになっていますが、昭和の大投手、稲生和久氏が中日ドラゴンズのピッチングコーチをしているときに、ミーティングで投手陣に投げかけた質問なのです。
ほとんどのピッチャーが、「自分の決め球である○○です」とか「悔いのないようにストレートを思い切り投げます」と答えたそうです。が、そのなかでただ一人、「答えられない」と返したピッチャーがいました。当時19歳の牛島和彦氏。 稲生氏が、「なぜか?」と聞くと、牛島氏はこう返したそうです。「どのような配球で3ボール2ストライクのフルカウントになったのか(当時は2ストライク3ボールですね)、それによって、投げる球も変わってくる。その配球を全て教えてくれたら答えられる」。

これこそ、論理的思考。

論理的な考え方

論理的思考とは何か?
論理的思考とは、自分が出した答えに対して、他者から次の二つの質問を受けたとき、客観的事実で答えられる思考方法。

なぜ?」「本当に?

例えば、上記のお題で「ストレートど真ん中」という答えを出したとしましょう。論理的思考で出した答えであれば、こうなります。

「なぜ、9回裏のあの場面でストレートど真ん中を投げたのですか?」
「なぜなら、配球として、1球目のスライダーが外角低めに外れ、2球目が内角高めのストレートで…、最バッターが一番苦手としているコースが真ん中だったので、だからストレートの真ん中を投げました」
「本当にあのバッターは真ん中が苦手なんですか?」
「本当です。このデータを見てください。外角低めは3割2分の打率、内角の高めは2割8分。しかし、真ん中は1割5分しか打っていないんです」
「なるほど…」

客観的事実とは、人から否定されようのないものです。
いや、1球目は外角低めではなかった。内角低めだった、とは言えないわけです。また、いや、真ん中の打率は1割5分ではない、とも言えません。客観的データに基づいているわけですから。
これが論理的思考の一つの要件です。

情緒的思考とは

論理的思考の対局にあるのが情緒的思考。情緒的思考は、「なぜ?」に対する答えが「客観的事実」ではなく「主観的感情」になります。

「なぜ、あの場面でストレートど真ん中んを投げたんですか?」「なぜなら、悔いが残らないようにしたかったからです」
というように。

仕事において論理的思考は、非常に重要なスキルです。なぜなら、人を説得したり、納得感を得て動いてもらうには、客観的事実に基づく必要があるからです。

例えば、営業担当者が上司からこう問われたとしましょう。
「顧客A社と顧客B社、どちらか優先順位を付けて重点的に対応してほしい。どちらを優先させる?」

情緒的思考であれば、こうなります。

  • 部下:「A社です」
  • 上司:「なぜ?」
  • 部下:「なぜなら、A社の担当者、めちゃくちゃいい人で、本当に好きなんです。話してても楽しいし、あの人のためになりたいと思うで、A社を優先させます」

理由が「主観的感情」です。主観的感情の最たるものは「好き嫌い」ですね。
好きだからやりたい、嫌いだからやりたくなり、
楽しそうだからやりたい、辛そうだからやりたくない、
これではなかなか人の納得感を得にくいですね。

論理的思考は、こうなります。

  • 部下:「A社です。なぜなら、A社の方が売上の伸び率が、B社よりも高く、今後の成長も見込めるからです」
  • 上司:「本当に?」
  • 部下:「本当です。このデータを見てください」
  • 上司:「なるほど…」

まずは、「客観的事実・データ」で語る癖付けをしてみましょう。管理職の方であれば、部下に「なぜ?」「本当に?」を問いかけ、「客観的事実・データ」で語る癖を付けさせましょう。

ただし、論理的思考のみでいいのかと言えば、そうでもないと思うのです。仕事においては、この論理的思考を主としながらも情緒的思考も織り交ぜながら、考えていくことが必要なのではないかと考えています。

両方の思考のハイブリッドを目指す

実は、窮地に追い込まれたとき本当に力を発揮できる人は、情緒的思考の人である傾向があります。心理学的に言うと、論理的な思考の人は、平常時にはコンスタントに成果を上げられます。

しかし、窮地に追い込まれたときは弱いと言われています。
窮地に追い込まれて、もう打つ手がないって時に、論理的思考の人は、「もうだめだ」と諦めてしまいやすい。でも、情緒的な人は、「理屈じゃなく、どうしてもやり遂げたい」と普通では考えられない力を発揮しやすい傾向にあるんです。「このお客様のために何とかしたい」とか、「この街が好きだからこの街のために何とかしたいんだ」とか考える方が何となく力が出る気はしますよね。
情緒的に心は熱く、論理的に頭はクールに。 仕事においては、これが大事なのだと思います。

株式会社ナレッジ・プラクティス・コンサルティング 代表取締役社長 中小企業診断士・事業承継士・経営コンサルタント

株式会社ナレッジ・プラクティス・コンサルティング 代表取締役社長
中小企業診断士・事業承継士・経営コンサルタント

宇井 克己

製造業・コンサルティング会社を経て2002年に独立。『経営者も社員も働くことに喜びと幸せを感じられる組織作りを支援すること』を使命とし、コーチングやファシリテーション、正しい問題解決手法を駆使して「考える社員、考える組織」&「高業績企業」を多数輩出。年間の研修・講演回数は150回以上。

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