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#06 数字を見たら比較と分解

こちらは2023年11月に弊社メールマガジンに掲載された記事の再掲です。

先月第5回の内容はいかがでしたでしょうか?
『論理的思考とは、自分が出した答えに対して、他者から「なぜ?」と「本当に?」の二つの質問を受けたとき、客観的事実で答えられる思考法。論理的思考は、仕事において、人に対する説得力を高めるためにも非常に重要なスキル。しかし、この論理的思考だけでは仕事はなかなかうまくいかないもの。論理的思考に情緒的思考も織り交ぜながら、考えていくことが必要。情緒的に心は熱く、論理的に頭はクールに。仕事においては、これが大事』ということをお伝えしました。
何かヒントになることがあったのであれば嬉しいです。

“数字”が持つ意味

さて、第6回は、「数字を見たら比較と分解」と題してお話をさせていただきます。 この回からしばらく「仕事力向上」をテーマに具体的なスキルをお伝えしていこうと思います。
たとえば、以下の“数字”を見てどのような“好奇心”が湧いてきますか?(それぞれの数字につながりはありません。別々で考えてみてください)

  • ・2022年度の日本の新車販売台数 269万2960台
  • ・2022年の合計特殊出生率 1.26
  • ※合計特殊出生率:15歳から49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもの。
  • ・日本の2022年度の防衛費 約460億ドル(約6兆円)

いかがでしょう?

仕事において伝えたいことを伝えるとき、数字を有効に使うことは、ビジネススキルとして重要なポイントです。
少なくとも「売上がかなり落ちてますね」とか「クレームはだいぶ減ってきてます」とか、「納期通りに納められない製品が結構あります」とか…こんなアバウトな表現を使っているようでは、なかなか“デキる”ビジネスマンとしては評価されにくいでしょう。「かなり」「だいぶ」「結構」という表現は人によって捉えるイメージが違います。こうした表現は人それぞれの“解釈”に基づくものです。解釈は人によって違いますから、お互いの認識を合わせるためには数字を使うことが求められます。
部下育成・人材育成においも“数字”をいかに使わせるようにするかは有効な手段だと考えてます。 ただ、数字を使うときにはポイントがあります。

数字は単独で使わない」です。

数字は単独では意味がありません。たとえば、「私、体重80㎏です」と言っても意味はありません。数字は他の数字と比較して初めて意味が出てきます。

比較して考える

「去年の今頃体重90㎏でした」と言われたら、「かなり痩せましたね」となり、「80㎏」に意味が出てきます。
「去年の今頃体重70㎏でした」と言われたら、同じ「80㎏」でもその意味は違ってきますよね。こうして他の数字と“比較”をすることで意味が出てくるのです。

比較すべき対象は以下の4つです。

  • ①過去との比較
  • ②未来(目標)との比較
  • ③標準との比較
  • ④他者(企業であれば競合企業)との比較

どんな状況でもこの4つが当てはまるわけではありませんが、数字を見たら「比較」する、これを念頭に置いておけるといいでしょう。
冒頭に掲げた「2022年の合計特殊出生率1.26」であれば、

①過去との比較:「前年は何人だったんだろう?」 「10年前は何人だったんだろう?」
②未来(目標)との比較: 「日本が目標にしている合計特殊出生率があるとしたら何人?」
③標準との比較:「先進国の平均値と比べたら多いの少ないの?」
④他者との比較:「アメリカの合計特殊出生率は?フランスは?中国は?」という感じです。

これを考えることで、「1.26」に意味が付け加えられるわけです。ちなみに、それぞれの数字は、

  • ①過去との比較
  • 2021年:1.30
  • 2020年:1.34
  • 2019年:1.36
  • 2010年:1.39
  • ②未来(目標)との比較
  • 希望出生率:1.8
  • ※人口を維持するためには2.1が必要。
  • ③標準との比較
  • 世界の合計特殊出生率は、2000~05年平均では2.65。先進地域では1.56、発展途上地域では2.90。国連の推計によれば、2045~50年平均では世界全体では2.05、うち先進地域では1.84、発展途上地域では2.07。
  • ④他国との比較(2019年実績)
  • 日本   :1.36
  • アメリカ :1.71
  • フランス :1.84
  • 中国   :1.70
  • ドイツ  :1.54

数字を見たら、こうした比較の発想をすることで、ビジネスセンスの向上にもつながります。

分解して考える

それと、もう一つ。「数字を見たら分解」です。
この分解が「数字に対する好奇心」にもつながると思います。さらに言うと「問題解決力アップ」「発想力アップ」にもつながります。分解は、以下の4つの視点です。

  • ①いつ(When)
  • ②どこ(Where)
  • ③だれ(Who)
  • ④なに(What)

たとえば、冒頭の数字「2022年の新車販売台数 269万2960台」であれば、次のようになります。

①When :「月別でいえば、何月が一番売れて、何月が少ないんだろう?」

②Where :「都道府県別でいったら、どこが一番売れていて、どこが少ないんだろう?」「地域別でいったら、どこの地域で多く売れていてどこの地域は少ないのだろう?」

③Who :「年代別でいったら、どの層が一番買っているんだろう?」「自動車メーカー別でいったら、どこの新車が一番売れて、少なかったのはどこのメーカーだろう?」

④What :「タイプ別でいったら、どのタイプの車が一番売れたんだろう?」「車種別でいったら、どうなんだろう?」

組み合わせもありです。

Who×What :「どの年代で、どの車種が売れているんだろう?」
Where×What :「どの地域で、どの車種が売れているのだろう?」

等々

もっと他に考えられる「○○別新車販売台数」はあるでしょう。そして、これらのことを考えたら、どうしても考えたくなるのが、「Why(なぜ?)」なわけです。「なぜ、この地域では、この車種が売れていて、この地域では少ないのだろう?」「なぜ、30代の層にこの車種が多く売れているのだろう?」というように。

まとめ

では、今回のコラムをまとめてみましょう。数字を使って仕事ができるようにするためにまずは数字に関心を持つ。そのためには、「数字を見たら比較と分解」です。数字は比較と分解をして、初めて意味が付け加えられるのです。
逆に言えば、意味のない数字だけでは、インパクトが無いという事です。管理職の立場であれば、人材育成の一環として、仕事で数字を使うときには、比較と分解をして考えよう、そんな教育もしていただけるといいと思います。
また、ニュースなどで扱っている数字に、ご自分で比較と分解をすることで、数字の意味をもっと深く理解することが出来ますし、メディアの比較と分解が、意図的になっている事も理解出来ると思います。

株式会社ナレッジ・プラクティス・コンサルティング 代表取締役社長 中小企業診断士・事業承継士・経営コンサルタント

株式会社ナレッジ・プラクティス・コンサルティング 代表取締役社長
中小企業診断士・事業承継士・経営コンサルタント

宇井 克己

製造業・コンサルティング会社を経て2002年に独立。『経営者も社員も働くことに喜びと幸せを感じられる組織作りを支援すること』を使命とし、コーチングやファシリテーション、正しい問題解決手法を駆使して「考える社員、考える組織」&「高業績企業」を多数輩出。年間の研修・講演回数は150回以上。

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