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#07 多面的思考を身につける

こちらは2023年11月に弊社メールマガジンに掲載された記事の再掲です。

先月第6回の内容はいかがでしたでしょうか?
「数字・データを使って仕事ができるようになるために、まずは数字に関心を持つことが大事。数字に関心を持つためには、『数字を見たら比較と分解』と心得る。 数字は『比較と分解』をして、初めて意味が付け加えられる。比較は、過去との比較・未来(目標)との比較・競合との比較・標準との比較、分解は4Wの観点で」ということをお伝えしました。何かヒントになることがあったのであれば嬉しいです。

多面的な視点を持つ

さて、第7回は、「多面的思考を身につける」と題してお話をさせていただきます。
もし、あなたが、仕事上、次のような発言をしていたら、今後は自分で「あっ、いけない!言ってる!」と気づけるようになってください。もしくは周りの人が言っていたら、それに気づけるようになれるといいです。

こんな発言です。

  • 「この問題を解決するには、もう取引先に価格を下げてもらう“しかない”」
  • 「お客様にお願いする“しかない”」
  • 「経営層に直談判する“しかない”」
  • 「この問題の原因は、コミュニケーション不足“しかない”」
  • 等々

「~しかない」というフレーズ。
この言葉自体がNGなわけではありません。しかし、この言葉を安易に使っているとしたら、一つの方向からしか物事を考えていない、つまりは多面的に物事を考えていないことになるのです。

「~しかない」という言葉には要注意です。

以前、私が参加した、とある企業さんでの営業会議でこんなことがありました。
その時の議題は、簡単に言うと「どうしたら売上を上げられるか」でした。
その会議の比較的早い段階で、一人の営業マン(20代後半、ちょっと小太り、イケイケのタイプ)が以下のような発言をしたのです。かなり強い口調でした。

「売上を上げるために我々営業マンができることなんて、決まっていますよ。商談の回数を増やすしかないですよ。我々営業マンはお客に会ってなんぼじゃないですか。足で稼ぐしかないんですよ」

そうです、「商談回数を増やす“しかない”」、「足で稼ぐ“しかない”」と「しかない」を連発しています。強めの口調で発言していて、声の大きな人の発言に流される、あの会議の雰囲気が漂っていました。が、同席していた私から見ると「多面的には考えてないなぁ、この営業マンは…」という感想だったわけです。
このように一つの方向からしか物事を考えていないことに、まずは自分自身で気づけるようになる。
「いけない、いけない、『~しかない』って言っている」と。

次に、それに気づけたら、どうしたらいいかです。もしくは他者が「~しかない」と言っていたら、どうしたらいいか?
当然、多面的視点で考えられるよう他の視点を探す必要があります。そのための最もベーシックな思考方法をお伝えします。

対義語を使おう

多面的思考と言った場合、最少数は「2」ですから、その「2」つ目の視点を考えられるようにすればいいのです。先ほどの営業会議の事例で言えば、どのように「2」つ目の視点で考えるか、もしくは考えさせるか?

ポイントは「対義語」です。
「高い」に対して「低い」、「広い」に対して「狭い」、「暑い」に対して「寒い」… 「論理的・情緒的」、「革新的・保守的」、「海外・国内」、「外部・内部」、「長期・短期」、「メリット・デメリット」、「ミクロ・マクロ」等々…

先ほどの若手営業マンの発言「商談の数を増やすしかない」に対して、対義語を考えるとしたら、いかがでしょう?
「商談回数を増やすしかない」と「量」の視点のみで考えている部下ですから、量の対義語である「質」の視点で考えれば、多面的思考になるわけです。

こんな感じでしょうか?

  • 上司:売上を上げるにはどうしたらいいと思う?
  • 部下:売上を上げるために我々営業マンができるのは、商談の回数を増やすしかないですよ!
  • 上司:(心の中で『A君は量のことしか考えていないな~』)なるほど、Aさんとしては、商談の回数を増やすってことね
  • 部下:はい、そうです
  • 上司:具体的にいうとどんな商談が増えたらいいかな?
  • 部下:どんなってことではなく、とにかく回数ですよ!結局営業は足で稼ぐしかないんじゃないですか?
  • 上司:なるほど、とにかく動いて稼ごうってことね
  • 部下:そうです
  • 上司:であれば…商談の量を増やすためにどうしたらいいかと併せて、商談の質をいかに高めて売上を上げるかという視点でも考えてみようか

こんな感じで多面的思考を促せたら、部下にない視点で考えさせることができます。これは部下育成の一つになるはずです。

もっと「多面的思考力」に

更に、対義語で真逆の方向から考えるだけではなく、3つの方向から、4つの方向から考えられるようにいつも意識をしていければ、多面的思考力が更に高まっていきます。その際、活用できるのが「フレームワーク(枠組み)」です。
もし、あなたが「御社の強みを3つ挙げて」と言われたら、どんなことを挙げますか?

「うちは上下間の隔たりがない」、「うちは優秀な人材が多い。素直の社員が多い」、「うちは比較的社内イベントの参加者数が多い」と3つの強み挙げていたとしたら…。

これは確かに複数のことを挙げてはいますが、真の多面的思考になっているかと言われタらそうではありません。真の多面的思考は、「モレなく、ダブりなく」でなければいけないのです。今の例でいれば、全て「ヒト」に関する強みです。こうした多面的思考を促すうえで使えるのが、「フレームワーク(切り口)」です。

自社の強みを出す場合であれば、「ヒト・モノ・カネ」というフレームワーク(切り口)で考えてみる。「ヒト」の強みは前述の通り。「モノ」に関する強みは、「こんな設備が揃っている」、「こんな他の企業にはないようなこんな測定装置を持っている」等が挙がるでしょう。「カネ」に関しては、「自己資本比率が業界平均よりも高い」とか「流動比率がライバル企業よりも高い」とか…。
もちろん他にも、「Q(品質)・C(コスト・経費)・D(納期)」や「開発・製造・販売」が「自社の強み」のフレームワーク(切り口)になり得るでしょう。

他にもフレームワークは、いくらでも世の中に存在します。「心技体」、「走攻守」、「マーケティングの4P」、「4M」、「マクロ環境分析のPEST」、「3C」等々…。挙げたらきりがありません。こうした知識をインプットしておけると多面的思考はしやすくなります。

今後、ご自身の仕事において、部下とのミーティング、経営層のミーティング、等々でこうした多面的思考を意識してみましょう。そして、多面的に色々と考えたうえでなら「う~ん、やっぱり商談の量を増やすしかないね」というのはOKとなるのです。

株式会社ナレッジ・プラクティス・コンサルティング 代表取締役社長 中小企業診断士・事業承継士・経営コンサルタント

株式会社ナレッジ・プラクティス・コンサルティング 代表取締役社長
中小企業診断士・事業承継士・経営コンサルタント

宇井 克己

製造業・コンサルティング会社を経て2002年に独立。『経営者も社員も働くことに喜びと幸せを感じられる組織作りを支援すること』を使命とし、コーチングやファシリテーション、正しい問題解決手法を駆使して「考える社員、考える組織」&「高業績企業」を多数輩出。年間の研修・講演回数は150回以上。

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