金融機関での40年と新たな1年

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#03 品揃えは10種類?

こちらは2024年8月に弊社メールマガジンに掲載された記事の再掲です。

キャッシュレスは1種類

突然ですが、皆さんは現金一億円を見たことがありますか。
一万円札が一万枚、これを千枚づつ10束にして、2列5行に並べると横32㎝・縦38.5㎝・高さ約10㎝となる。大雑把に云うとA3用紙・厚さ10㎝くらいの大きさ、想像してみてください。

このセットがビニールパックされて日銀から金融機関に渡される。重さは約10㎏ある。目の当たりにすると、なかなか壮観だ。2024年の「サマージャンボ宝くじ」1等当選金は、5億円だからこれが5パックと云うことになる。さて何に使おう、などと皮算用しても仕様がない。

さて、2024年7月に新紙幣(日銀券)が発行された。2023年のキャッシュレス決済比率は4割近いが、現金の流通もまだ多い。

金融機関が、窓口でお客様から預かり、又お渡しする品(?)として常に用意しているものは、云うまでもなく現金だ。その種類は紙幣4種類(1万円・5千円・2千円・1千円)、硬貨6種類(500円・100円・50円・10円・5円・1円)、計10種類しかない。駅前の立ち喰いそば店でも、メニューはそれ以上ある。品揃え、わずか10種類で商売している業種は、そうそう思い当たらない。しかも、これらには「つゆだく」や「トッピング」のオプションもなく、極めてシンプルだ。だが、これが厄介なのだ。

世間では「お金に色はない」、金融機関では「現金その場限り」と言う通り、窓口での受払時、伝票に記された金額と、現金額が相違している事を見逃すと、後で大変苦労することになる。

お客様も窓口もお札の通し番号など控えていないし、一旦金庫室に入れてしまったら、誰から預かったものかなんて判らない。名前も書いてないし、見分けがつかない(もし見分けがついたらそれは偽造貨幣であり、大変なことになる)。だから窓口では「現金その場限り」を徹底し、細心の注意を払う。

当然のことながら、窓口処理の終了後には毎日、現金残高照合をする。前日の現金残高から当日の預かり記録(入金伝票)・払戻し記録(出金伝票)を加減し、これを実際の10種類の現金残高と突合する。つまり、一般企業で云う「棚卸し」を毎日実施している事になる。

もしこの先、世の中が完全キャッシュレスとなれば、毎日の「棚卸し」は無くなり「現金その場限り」などの箴言は忘れ去られる。そしてその頃「一億円」とは、どの様にイメージされるのだろう。

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余談

現況、キャッシュレス決済は自然災害などで停電、インターネット回線が不通となった場合、使用できなくなる可能性があります。いざ、非常時の食料品等の購入に備えて、ある程度の千円紙幣・100円硬貨などを常備しておくことを、おすすめします。

松永一九

松永一九(ペンネーム)

昭和30年代生まれ、地域金融機関に就職。40年近く勤めた後、いわゆる「会社人」とは異なった目線で世の中を見たい、かかわりを持ちたい、との思いから心機一転、退職して会社人ではない社会人一年生を始める。
The Rolling Stones「It’s Only Rock ‘n Roll」、Donald Fagen「The Nightfly」が愛聴盤

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